大阪市立伊賀青少年野外活動センターの食堂の窓からは木々の紅葉が見えるのです。
 
 私が初めてここを訪れた10年前、食堂から見る森は荒れていました。ちょうどその前年の台風で多くの木が倒れてしまったそうです。
 
 『伊賀森林ボランティアサークル』(通称:伊賀ボラ)これが私たちが活動している団体の名前です。
 
 「ボランティア」と聞くとちょっと敷居の高い、とっつきにくい空気のようなものを感じる方も多いかと思いますが、ホンネを言うと私たちはこの施設で四季折々の森を楽しんできました。
 毎年、新緑の春には生命の息吹きを感じ、夏のむせ返るような濃い緑に力強さを見、秋の紅葉の時期には自然の美しさに浸る。そんな環境の中でドングリのなる木の植林や人工林の間伐、草引きや炭焼きなどをして来ました。
 地球規模で温暖化やCO2削減が叫ばれている中、また森が危ないと言われて久しい中、私たちはこの伊賀の森で10年以上活動を続けて来ました。
決して一時のブームや責任感、使命感だけでは続いて来なかったように思うのです。
なぜならそこで楽しめないと次にこの地へ足を運ぼうと思わないからです。
 そんな参加メンバーのほとんどは大阪からこの伊賀の森に魅せられて1泊2日の日程で参加されるのですが、そこで同じ物を食べ、同じ汗をかき寝食を共にして過ごしてきました。
 結果、前述のように台風で多くの木が倒れた森が、きれいな緑を取り戻したのです。
 
 都会で暮らしていると快適ではあるのですが季節を感じにくい、また自然というものを身近に感じないようで、ひょっとして『ミドリの飢え』みたいなものも私たちをここへ引き付けた要因かもしれません。
 また森の中に身を置くだけでもリラックス出来る、気持ちがリフレッシュ出来ると言われている中で仲間と一緒に『気持ちの良い汗をかける』、これも街では決して味わえない爽快感なのです。

 

 ここで活動していると色んな老若男女の方々と関わる事が出来ました。
友人に誘われて初めて参加してその友人よりハマってしまい、今やそのサークルの先頭に立って頑張る方や、色んな体験を通して充実した時間を過ごす事の面白さに気づいた方。「ここへ来て人生が変わった」そんな風におっしゃる方もいます。
 もしここへ来ていなかったら、公園の木々の枝ぶりや街路樹やドングリに目をやる事も無かったし、ドライブで郊外に出て山の緑を見てもさほど気にはならなかったと。
 ひょっとしたらそれだけでも人生の幸せの選択肢がひとつ増えたって事ではないでしょうか。
 加えて私たちの活動の中味はいつも計画・段取りから始まります。
参加メンバーの行動を見ていると依頼もしないのに、『ワシ、これするワ!』
放っておいても勝手に動いてくれる。しかもいつもしんどい事からさりげなく作業を率先して引き受けてくれるのです。
もちろん人が作業に難儀していると、寄ってたかって手助けしてくれるのです。
そんな参加メンバーの背中を見ていると人は考えるんですね、自分にも何か出来ないかって。役に立てる何かがないかなって・・・。
 「ここへ来て何事にも積極的になったよ」そうおっしゃる方もいます。
 
私は長年ここで森を元気にする手助けをしてきたつもりが、ホントはこの森に来て森から元気をもらっていたということに気付きました。
おそらくずっと長く来られている多くの方々もそんな理由で足を運んでくれているんだと思えるのです。
 
最後に自分の10年後の事を少しだけ想像してみてください。あなたは何歳になっていますか?その年齢になった時のあなたは、居心地の良い場所をいくつ抱えているのでしょうネ。
私は食堂の窓から見える森を見てふとそんな事を思うのです。
 
           

『伊賀森林ボランティアサークル』ホームページ:
http://www.sun-inet.or.jp/~a300223/

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